処暑の風が運ぶ、夏の終わり
「処暑」を迎える頃、朝晩の風にふと涼しさが混じります。
ジリジリとした猛暑のピークから、季節がゆっくりと秋へ向かう足音が聞こえ始める時期です。
家の中の「室礼」も、少しずつ静かに模様替えのときを迎えていきます。
夏の間、涼を運んでくれたガラスの器を少しずつ片付け、食卓には温かみのある木や陶器の器を選び始めます。
すだれ越しの陽射しもどこか柔らかくなり、部屋に落ちる影が少しずつ長くなっていきます。
店先には、走りが出始めたサンマや、丸々と実ったぶどうが並び、目にするもの、口にするものが、
新しい季節の訪れを優しく教えてくれます。
そして、我が家の食卓にも、少しずつ秋の味覚が登場し始めるのです。

京の街では、この処暑の訪れとともにあちらこちらで「地蔵盆」が行われます。
路地裏に飾られた色鮮やかな提灯。
大きな数珠をみんなで回す、賑やかでどこか厳かな時間。
子どもたちの手には両手いっぱいのお菓子袋と、弾けるような笑顔がみえます。
それは、大人たちにとっても「あぁ、今年も夏が終わるのだな」としみじみ感じる、
切なくも温かい節目でもあります。
残暑の中に混じる、確かな秋の気配。
処暑の涼風に吹かれながら、過ぎ去る季節の思い出を愛おしむように、静かな秋を迎えたいものです。
小さな暮らしの案内人
