小さな庭の、静かな呼吸
朝の光が差し込むと、足元の緑がかすかに揺れる。
小さな庭の静かな呼吸に耳を澄ませ、そっとペパーミントの葉に触れてみた。
指先から立ち上る香りは、つんと冷たく、それでいてどこか甘いその気配に包まれている。
ツンと鼻を抜けるメントールの鋭さの奥に、ハーブ特有の青く優しい甘みがゆっくりと満ちていく。
ギリシャ神話の中に悲しく美しい物語がある。
妖精メンテは、冥界の王ハデスに愛されたことで妻ペルセポネの激しい嫉妬を買い、踏みつけられミント(薄荷)の草に変えられた。
妖精メンテが、自らの存在を伝えるために放ったというミントの香り。
その清涼な気配に身を委ねていると、張り詰めていた日々の緊張がほどけていく。
時おり吹く風に小さな青い葉が揺れる姿は、風と戯れているようにも思える。
目を閉じて深く息を吸い込み、心をととのえる。
さあ、今日も一日がスタートする。
小さなに庭を後にしてもなお、私の指先には、あの清涼な風の記憶が静かに残り続けている。

小さな暮らしの案内人
