庭のキキョウ(桔梗)と、秋の七草
お正月にいただく「春の七草」は有名だが、「秋の七草」はあまり知られていない。
お粥にして食べる春の七草とは違って、秋の七草は「目で見て、五感で美しさを味わう」ためのもの。
そう知るだけで、なんだか風情を感じる。
いま、我が家の小さな庭では、紫色のキキョウ(桔梗)が静かに花を咲かせている。
ふっくらとした風船のような蕾がパッと開く姿はとても愛らしく、凛とした佇まいに心が洗われる。
このキキョウ(桔梗)も、実は秋の七草の一つ。
小さな庭の特等席で涼しげに咲く姿を眺めていると、季節がゆっくりと秋へ進んでいるのを感じる。
我が家にあるのはキキョウ(桔梗)だけだが、少し外へ目を向けると、千年も前から愛されてきた仲間たちが順に咲き始め、それぞれの愛らしさで秋を教えてくれる。
散歩道で優しく揺れる薄紫のハギ(萩)や、お月見でおなじみのオバナ(尾花:ススキのこと)。
道端で甘い香りを放つクズ(葛)に、レースのように可憐なナデシコ(撫子)。
日差しを浴びて黄色く輝くオミナエシや(女郎花)、淡い藤色が上品なフジバカマ(藤袴)。
どれも華やかさはないが、秋の風に吹かれて揺れる姿は、どこか切なくて、そっと寄り添いたくなるような魅力がある。
庭のキキョウ(桔梗)を見つめながら、遠くの野辺に咲く七草たちに思いを馳せる。
そんな風に足元の秋を見つけるだけで、せわしない毎日の中に、心地よくて豊かな時間が流れていくような気がする。

小さな暮らしの案内人
