二十四節気 寒露(かんろ)|歳時記

季節は一歩、歩みをすすめる

朝の光を浴びて、庭の草木に結んだ露が真珠のように煌めいています。

二十四節気の「寒露(かんろ)」を迎えると、それまでのすがすがしい秋晴れから、季節は一歩、歩みを進めます。

秋晴れの過ごしやすい日が増え、空気が澄んで夜空の月や星が美しく見える時期です。

肌をなでる風の温度感は日ごとに下がり、朝晩の冷え込みに思わず肩をすくめる瞬間もでてきます。

そんな冷涼な空気に促されるように、本格的に暮らしの支度を始める時期でもあります。


クローゼットからお気に入りのウール、セーターやブランケットを引っ張り出し、天日の匂いをいっぱい吸い込ませると、冬を迎える準備が少しずつ始まっていくんだと感じます。

ふと見上げると、秋の光は優しく、どこか切なく、室内の植物を照らしています。

この穏やかな光に照らされて、街の木々も少しずつ色づき始め、世界が「深緋(こきあけ)」や「琥珀色」へと染まっていきます。

秋は行事が多い季節でもあります。

この季節が巡るたびに思い出すのは、まもなく訪れる「鞍馬の火祭」。

山が少しずつ色づき始め、寒さを感じるようになる寒露の頃、夜の闇にゆらめく巨大な松明の炎を想いだします。

あのパチパチと爆ぜる音と熱気は、冷え込み始めた秋の空気の中で、より一層鮮烈に記憶に刻まれています。

そして、火祭とともに訪れる、「十三夜」のお月見。

栗や豆を供え、温かいお茶を淹れて、少し控えめで静けさをまとった美しい月を愛でる夜。

寒露の露は、やがて霜へと変わっていきます。

ほんの短い、けれど確かな秋の深まりを、五感のすべてで愛おしみたいものです。

小さな暮らしの案内人