二十四節気 霜降(そうこう)|歳時記

霜降の朝、千年の秋を渡る風

朝、ベランダに出ると「ツーン」と冷たい空気が鼻をくすぐります。

二十四節気の「霜降(そうこう)」を迎え、いよいよ暦の上では秋の最終コーナー。

つい先日まで猛暑に耐えるめに施していたのが、今はベランダガーデンの植物たちに寒さに備える秋支度を施す季節がやってきました。

朝晩の冷え込みがぐっと深まり、山々は一気に燃えるような紅葉へと染まっていきます。

本来、我が家のベランダにいるローズマリーやラベンダー、ローズゼラニウム、レモングラスは、他のハーブ達とは違い寒さに弱く、冬を越すためにはマルチングなどの手厚い保護が必要なはずの植物たち。

しかし、彼らはこの場所の環境に少しずつ、しっかりと馴染んでいったのか、特別な過保護をせずとも、毎年遮るもののないベランダの風の中で、たくましく冬を越してくれます。

華奢でか弱そうに見えて、実は驚くほどタフ。

そんな我が家の植物たちの秘めた強さに、毎年ただただ感心させられます。

空気は澄み渡り、見上げる空の光はキラキラと、とても美しく感じます。

街は銀杏の葉が黄色く色づき始め、家々の庭先には鮮やかな橙色の柿が実り始めています。

食卓には秋の味覚が豊富に並び、とりわけ湯気とともに豊かな香りが立ち上る私の大好きな「マツタケの土瓶蒸し」を味わうのは、この季節ならではの至福の楽しみなのです。

朝晩の冷え込みが本格的になり、京都の秋を彩る三大祭りの一つ「時代祭り」のニュースを耳にすると、いよいよ深い秋の訪れを感じます。

明治の世から、平安遷都千百年を記念して始まった、この祭り。

目の前を通り過ぎる2,000人余りの行列を見つめていると、復元された一万二千点におよぶ精緻な調度や衣装、祭具の美しさに息をのみます。

それは単なる華やかなパレードというだけではなく、千年以上もの間、この国で紡がれてきた「先人の暮らし」そのものなのでしょう。

一枚の織物、一つの祭具に込められた当時の人々の息遣いに、思わず深く思いをはせてしまいます。

時代祭りの華やぎが過ぎると、京の街も、我が家のベランダも、いよいよ冬支度へと移っていきます。

冷たい風の中に、千年の時を超えて受け継がれてきた秋の深まりを、しみじみと五感で噛みしめているのです。

小さな暮らしの案内人