今日のお話し
食欲の秋がやってきます。
今回は、お料理が美味しくいただけて健康にも役立つ「辛味をつけるスパイス」をご紹介します。
近頃ではスパイスという言葉もメジャーになり、店頭にはたくさんの種類が並ぶようになりました。
「どうやって選べばいいのかわからない」という声もよく耳にしますので、今回は数あるスパイスの中から、特に健康効果が期待できる「辛味」に焦点を当ててみたいと思います。
現代でこそスパイスはお料理の香辛料として欠かせないものですが、歴史を遡ると、元々は薬として利用されてきました。
そのため、スパイス発祥の地である欧米などでは、香辛料としてだけでなく、その高い薬用効果に注目している人も大勢います。
スパイスの基本的な3つの働き
スパイスには、大きく分けて以下の3つの役割があります。
- 香りをつける
- 辛味をつける
- 色をつける
お料理は、嗅覚、視覚、味覚のすべてを満たしてこそ「美味しい」と感じられるものです。
そのため、スパイスは塩やコショウと同じように、料理に深みを与えるために欠かせない存在なのです。
今回は、日々の食卓にアクセントを加え、食欲を増進させてくれる「辛味のスパイス」を4つピックアップしました。
辛味を持つスパイスの種類
「スパイス=すべて辛い」というイメージを持たれがちですが、実は純粋に強い辛味を持つものはそれほど多くありません。代表的な4つのスパイスとその特徴を見ていきましょう。
1. 唐辛子

辛味をつけるスパイスとして、私たちが一番に思い浮かべるのが唐辛子です。
辛味成分である「カプサイシン」が含まれており、舌にピリピリとくる刺激的な辛さが特徴です。
日本人にとって馴染み深いのは「鷹の爪」ですが、最近では海外由来のものも含め、何十種類もの唐辛子が流通しています。
- ドラゴン・ブレス・チリ / キャロライナ・リーパー:ギネス記録に認定された、世界のトップクラスを争う猛烈な辛さの唐辛子。
- コモド・ドラゴン・ペッパー / トリニダード・モルガ・スコーピオン / ブートジョロキア:強烈な辛さから「悪魔」などと称される品種。
- ハバネロ / スコッチ・ボネット:激辛ブームの火付け役。辛さの中にフルーティーな香りと甘みがあるのが特徴。
- バード・アイ:小粒ながらシャープな辛さ。カレーなどに加えると、心地よい痛みを伴う辛さが際立ちます。
- カイエンヌペッパー:タイ料理やカレーの辛味付けに欠かせないパウダー状の唐辛子。
- ハラペーニョ:メキシコ料理によく使われる、比較的マイルドで馴染みのある唐辛子。
このほかにも、沖縄の島とうがらしやタイのプリッキーヌなどがあります。
さまざまな種類が登場した現代では、かつて辛いとされていた鷹の爪も、今ではマイルドな部類に入りつつあります。
しかし、鷹の爪は和食・洋食・中華など、どんな料理にも合わせやすく、日本の家庭で最も重宝する万能な唐辛子です。
最近では、ハーブティーやジュース、コーヒー、ココアなどに唐辛子をブレンドしたユニークな製品も登場しています。
ちなみに、お鍋の薬味などで人気の「柚子胡椒」は、名前にコショウとついていますが、実際は「青唐辛子」で作られています。
唐辛子には、血行促進、冷え性改善、老廃物の排出、そして夏バテや季節の変わり目の疲労回復に効果的です。
2. 胡椒(コショウ)

胡椒の辛味成分は「ピペリン」です。ピリッとした刺激的な辛みと、芳醇な香りが特徴です。
料理の下ごしらえ、調理中、そして仕上げの食卓と、ひとつの料理に3度も登場することから「スパイスの王様」と呼ばれています。
食欲増進、血行促進、代謝向上、抗酸化作用など、多くの健康効果が期待できます。
胡椒は主に以下の3種類に分けられます。
- ホワイトペッパー(白こしょう):マイルドな香りと上品な辛みが特徴。
オムレツやクリームシチュー、白身魚のムニエルなど、お料理の色合いや風味を損ないたくない淡白な料理によく合います。 - ブラックペッパー(黒こしょう):野性的な香りと力強い辛みが特徴。
ステーキやカルボナーラなど、味の濃い料理や、肉・魚の臭み消しに最適です。
ポテト料理やサラダのドレッシングにもよく合います。 - グリーンペッパー:未熟な緑色の果実を乾燥させたり塩漬けにしたもの。
さわやかな風味があり、スープのトッピングなどに使われます。
私たちが普段使っているケチャップやソース、カレー粉の原料としても活躍しています。
なお、彩りとして使われる「ピンクペッパー」は、コショウボクという全く別の植物の果実を乾燥させたものです。コショウのような辛味はなく、主に料理やお菓子の飾り付けとして使われます。
3. ショウガ

ショウガの辛味成分は「ジンゲロール」や「ショウガロール」です。爽やかな香りと、身体の芯から温まるような辛みが特徴です。
肉や魚の臭み消しはもちろん、お菓子、ドリンク、ソースなど幅広く利用されています。
日本では、すりおろして冷奴やアジのたたきの薬味にしたり、甘酢に漬けてお寿司の「ガリ」や焼き魚の口直しにしたりと、和食にはなくてはならない万能スパイスです。
ショウガのさわやかな辛みは、胃腸の働きを活発にしてくれるため、食欲が落ちているときでも素麺やうどんを美味しく食べさせてくれる魔法のような力を持っています。
抗炎症作用、冷え性改善、殺菌作用、健胃整腸作用など、身体をいたわる成分が凝縮されています。
4. ワサビ

ワサビの辛味成分は、主に「アリルイソチオシアネート」という揮発性の成分です。
ツーンと鼻に抜ける爽快な辛みと、独特の甘い芳香が特徴です。ワサビはすりおろすことで細胞が壊れ、この辛味成分が生成されます。
お刺身やお寿司、お蕎麦の薬味としてはもちろん、最近ではドレッシングやソースの隠し味としても人気です。
私たちが古くから生魚にワサビを添えてきたのは、先人たちがその高い抗菌・殺菌作用を経験的に知っていたからです。
大腸菌などの食中毒を防ぎ、食材が傷むのを抑える効果があります。
最近ではその高い抗菌力を活かして、お弁当の防腐シートやエアコンの抗菌フィルターなど、食品以外の分野でも活用されています。
スパイスを上手に暮らしに取り入れよう
スパイスの辛味は、食材によってそれぞれ異なる個性を持っています。
しかし共通しているのは、単に「辛くて美味しい」だけでなく、血行促進、冷え性改善、健胃作用、抗菌作用など、私たちの身体を整えてくれる素晴らしいパワーを秘めている点です。
唐辛子のピリピリとした辛み、胡椒の刺激的な風味、ショウガの爽やかな温かさ、そしてワサビのツーンと抜ける爽快感。
よく「スパイスは人生そのもの」と言われます。お料理も暮らしも、甘さ、塩気、酸味、苦味だけでなく、そこに心地よい「辛味」という刺激があるからこそ、より深みが増し、豊かになるのではないでしょうか。
これらを日々の献立に上手にとり入れることで、免疫力を高め、季節の変わり目も元気に乗り切ることができます。
🌿今日のひとこと
「辛味スパイスで内側から身体を温めた後は、お部屋の空気も秋仕様に変えてみませんか?次回のテーマは『香りの衣替え』。平安貴族も愛した、秋の夜長を彩るアロマの魅力をお届けします。」
